天を衝く槍
そんなことがあった3日後。
シロさんが退院できることになったので、ソンジュさん主催の『ジューシロー復活祭』が行われた。
この頃になると、ラガーもダラナもウルノも元気になってて、任務に復帰していた。
だからその三人から、なんで俺らが退院した時こんなパーティーなかったのかと、ソンジュさんに苦情が寄せられていた。
私がそんなソンジュさんに助け舟を出すと、彼らは以外にもアッサリと分かってくれた。
「…今日みたいな日が、ずっと続けばいいのにね」
三人が立ち去った後、不意にソンジュさんが辺りを見回して、まるで独り言のように小さくつぶやいた。
みんなでワイワイしてて、笑ってて、元気で。
ふと、ギルが紫色のクッキーらしきものをヨースケに食べさしてあげようとしているのが目に入った。
何も知らないヨースケはそれを受け取り、口に含む。
それを見守るギルとアルとジルの顔が、笑いを堪えているような顔をしていた。
傍に居るシロさんとフィーネさんは困ったような顔をしてそれを見ていた。
「べふォオッッ」
それを食べたヨースケの顔から一気に血の気が引いていき、耐え切れずそんな声を発しながら彼は口に含んだものを吐き出す。
見ていたアル達は大爆笑していた。
むせるヨースケを見て、ラガー達も笑っていた。
暫くして、落ち着いたヨースケがギルに怒っていたが、それもどこか楽しそうだった。
「……………………」
彼はずっと続けばいいと言った。
ワイワイはしゃいで、任務のことなど忘れて、馬鹿して、楽しんで。
そんな日が続けばいいのにと、悲しそうに言った。
私は彼らを戦場に追い出すことしか出来ない彼の悔しさが、少しだけ分かったような気がした。