天を衝く槍
それから1週間ほど、私は任務に出た。
毎回、毎回、同じことを繰り返してなかなか滅びないウサギに、どんだけいるんだとか思った。
それと、私は薄い手袋みたいなものを付けて槍を扱うんだけど、今回の任務でそれをつけてくるのを忘れた。
おかげで手の皮がむけてヒリヒリする。
ヨースケに槍を習っていた時、彼が絶対にこれ付けんの忘れんなよと、釘を刺していた意味が分かった。
傷としては大したことないんだけど、槍が扱いにくい。
そんなことがあって、少し自分のアホさを恨んだ。
まぁ、傷は治ったんだけどね。
「お帰りコウガーっ」
そして私が地下水路の船から降りると、アルが待ってましたとばかりに私に抱き着いた。
「おぉ…ただいま?」
アルがこんなことをするのは初めてだ。
何かあったのだろうか。
ジルに対するツンデレのデレが出てきたのだろうか。
「…おかえり……」
震えたような声で、彼女が言う。
「うん。ただいま」
そんな小さなアルに私は優しく言った。