天を衝く槍
「話、戻すで」
ヨースケが、また真剣な顔をして言う。
「ほんまに後悔せん?」
「はい」
私は彼の眼を見て、強く言った。
「…分かった」
彼は部屋の外で待機させていたであろう看護師らしき人に、注射器を渡す。
看護師が私の腕に注射器を刺し、液体を体内に入れた。
「副作用は眠くなることやけ、そんな気にしんさんな」
彼は「もし、変な感じしたらフォルミーカに行き」と言い、この部屋を出た。
その後は服の採寸をしたり、食堂や図書館、談話室の案内をしてもらった。
「で、ここがコウガの部屋な」
ヨースケがドアを開けてくれた。
中に入ると、アルと大きな楕円の窓が目に入る。
「アルと相部屋な」
彼がそう言って出ていった。
部屋の右側を見ると、私の私物が置いてある。
「アタシはアル」
彼女が声をかけてくれた。
「アルでいいよ」
彼女はそう言い、私を見上げた。