天を衝く槍
「そっち行ったぞ、コウガ!」
ふいにウルノが私に叫んだ。
辺りを見渡すと、確かにウルノのいる方角からウサギが大きな口を開けて、今にも私を食べようとしている。
私はそれを躱して首を斬る。
落ちた首が一度、地面にぶつかって跳ね、それから胴体と共に灰になった。
なんとなく、今日は槍じゃなくて剣。
シロさんに教えてもらった剣でやりたかったから。
「おー。ナイスだ、コウガ」
私が地面に着地した時、ジルがいつものようにそう言いハイタッチをした。
「………………………」
任務の時は普通なのになぁ。
私はトレーニングルームに籠るようになった彼らを思い出しながらそう思う。
今は私、ウルノ、ジルの三人でウサギの巣の駆除に来ている。
そしてなんとウサギの巣は、あろうことか大きな街の教会の地下にあったのだ。
道理でここらの不可解な人間の死体が多く発見されるはずだ。
先日、ギルとジルがここに調査しに来て分かったことらしい。
因みにここらの人間は念のため遠くに避難させている。
「……また地下なんですね」
ポツリと、ウルノが呟いた。
「え、なに、どうした。顔色悪いけど」
ジルが彼の顔を覗き込む。
「も…もしかしたら、僕らが駆除しに来た時にベシャッて潰せるようにする為なんじゃ……」
「おいおい、そう言う考えかたヤメロよ。潰されたくないんだけど、俺」
真っ青にしながらウルノが言い、ジルも顔を引き攣りさせながら言った。
「ああぁぁぁ、もしそうなったら僕…」
「頼むからやめてくれ。マジでオマエが言うとそうなりそうで怖いから」
がくがくブルブルするウルノに、棒読みでジルが言った。
気のせいか、ジルの目が逝っているような…。