天を衝く槍
「だぁあぁぁあッ!!!」
あれからジェゾがいなくなって、急にジルが発狂し始めた。
「何だアイツ!!?何様なんだよアイツ!!!毎度毎度腹立つことばっか言いやがって、クソッ」
「お…落ち着こうよ、ジル」
怒り心頭に発する彼をなだめても無駄で。
「なぁ、コウガもそう思わねえ!!?」
「う…うん?」
「マジでムッカツク!!!あー腹立つ!!!」
まさかのトバッチリ。
「もうあれだ、あれ!!!げきおこプンプンまるの最上級だな!!!」
「げ、げきおこ?」
「MOSTだよ、最 上 級!!!」
ああぁぁあヤバイ。
ジルが何言ってんのか全然分からない。
「……めん、」
「え?」
小さな声でウルノが何か言う。
「ごめん、コウガ…」
そんな怒りの感情をむき出しにして地団駄を踏んでいるジルとは対照的に、ウルノは私の袖を掴み、泣きそうな声で言った。
「…ウルノ?」
俯いている為、今、彼がどんな表情をしているのかは分からない。
「…俺、もうダメだ……」
「………………………」
「……ごめん…」
「ウルノ…」
悔しそうに。
いや、辛そうに言う彼に、私は彼の名前を呼ぶことしか出来なかった。