天を衝く槍
13.事実。
その日の23時。


食堂。


まるで集会が始まる前のように、ざっと見てほぼ全員といえるほど仲間がいた。


まぁ、もともと人数少ないから、すぐに人集まるんだと思うけど。


そして、ここには何故かジルたちの姿が見当たらない。


彼らならすでに来ていると思ったのに。


どうしたんだろ。


「今まで通りになんないかなぁ…」


ふと、私の隣にいるアルが祈るようにポツリと言った。


「それは難しいかもしんねえな」


さっきまで後ろにいたラガーがポケットに手を突っ込んで、遠くを見て小さく言う。


「……なんで?」


「なんで?って……俺の勘?」


彼はワザとらしくキョトンとした表情を浮かべ、私たちを見る。


「真面目な話してんだけど」


少し苛ついたアルの声音が低く響き、彼と彼女が睨み合う。


…睨み……いや、違う。


彼女は懇願するような表情で、彼はそれを拒む表情。


「………………………」


「………………………」


「………………………」


「………………………」


「…俺の本音はー……お前には気分良くねえと思うんだけどな…」


彼女から目を逸らして、折れたラガーが目を落とす。


「…分かってる」


「………………………」


アルの言葉にラガーが息を吐き、再び遠くを見た。


「俺は別にあいつらがプロヴァーレだろーが、そうじゃなかろーが、正直どっちでもいい」


「………………………」


「ただ、前みたいにバカしてんの見たり、一緒に任務したりしたい」


「…………………………」


「俺はそう出来るかもしんねーけど、前からあいつらをよく思ってない奴らもいるし」


ラガーがチラリと横目でリャノを見る。


「今回の件でその溝がなんやかんやで深まった。そう簡単に元に戻るとは思えねぇ」


彼はそう言い、目を伏せた。
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