天を衝く槍


フィーネさんはサラッと言った。


まるで紙に書いてあることをそのまま、ただ淡々と読むように。


「……あ…」


掠れた声が口から出ていく。


―—やはりアルの言ったことも関係してたんだ


「……っ…」


ヨースケが息を飲み、ラガーが信じられないとでも言いたげに、目を開いて眉間にシワを寄せていた。


「じんたい、実験…」


アルが目を瞠って復唱する。


「Alice(ここ)で?」


「そう。Alice(ここ)で」


ヨースケがシロさんに聞き、彼は不敵な笑みを浮かべ返答する。


―—だけど


そんな。


そんなこと。


信じられない。


体が強張る。


人体実験なんて。


「禁止されてるはずじゃ―—」


「今、ね」


私の言葉を、シロさんが遮る。


「今?」


リャノが解せないというように顔を歪めた。


「禁止なのは、ここ5年の間くらいだろ。前は倫理的に問題があるからって禁止をしていたわけじゃない筈だったし」


ギルが首をコキコキ鳴らしながら言う。


そして、そんくらい知っとけよ、と言い欠伸をした。


「……な…」


言葉が上手く出ない。


そんな。


禁止になったのはつい最近のことではないか。


しかも、この国際的な組織でそんなことを。


……いや、国際的な組織だからこそ?


「なんで人体実験なんか…」


アルが呟いた。


目には涙がたまっていて、すぐにでも零れそうだ。


「……初めから話そうか」


フィーネさんは息を吐き、目を落とした。
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