天を衝く槍


「話、戻すよ」


フィーネさんが続ける。


「そんなことして増やしても、どうせ聖戦で大半は死んでしまう。今までずっと、その繰り返し」


彼が目を伏せた。


「………………………」


―—何が映っているのだろう


彼が見る世界に、一体何が映っているのだろう。


彼の瞼の裏に、一体何が映っているのだろう。


そんなことを思わせる表情を浮かべて、彼は小さく息を吐いた。


「前は今よりずっと兵が少なかったからね。今のように安定し始めたのは6年、7年くらい前からなんだ。信じられないほど最近でしょう?」


自嘲するように、はっと笑う。


私が来たとき、ちょうど安定してなにも起こらなかった。


ここで人体実験があるなんてことも知らなかったし、そんなことをずっとしていたことも知らなかった。


それが、当たり前だと思ってた。


「………………………」


「………………………」


「………………………」


「………………………」
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