天を衝く槍
「はッ」
グシャッと、これで何匹目になるかもう分からないぐらいウサギを灰に帰す。
サッとフォシャールを抜き、私はふと物音が小さくなったのを不思議に思って、乱れている息を整えながら辺りを注意深く見渡す。
誰も、何もおらず、ただ砂埃が小さく舞う。
複数の小さなクレーターがある月面に上陸した、孤独な宇宙飛行士のような気分になった。
「……………………………」
一体あれからどのくらい時間が経ったのだろう。
ウサギと闘っている間、いつの間にかできてしまった頬や腕にある傷に汗が滲み、じわりと熱を持ち、じんじんと痛む。
一体どこまで遠くに来てしまったのだろう。
耳を澄ますが小さな音も、大きな音も拾わない。
だから私は新しくなった端末の機能を頼りに、近くにいる仲間の元へ行く。