天を衝く槍
「っ!」
その途中、鋭い殺気を感じた。
背中と腹。
両方からグサグサと大きなつららが突き刺さるような。
―—その刹那。
そして右から来る鋭い風。
「!」
この感じは。
感じたことのある殺気にヨースケから教わったように、私は咄嗟に受け身をとる。
-----ギィイインッ
金属と金属が擦れる音が耳につく。
「……っ…」
思った以上に相手の力が強くて、私は顔を歪めた。
「……少しは楽しめる…カナ?」
目の前にいる不思議な、独特のイントネーションで喋るLunaがニタリと笑う。
「…ツァンジー……」
苦虫を噛むというのは将にこのことなのだろう。
ジル達から話を聞く限り、一番相手になりたくない奴なのだから。
ギリギリと、彼の持つ柄の部分に鎖がついている鎌と私のフィシャールが音を立てた。
そんな音はまるで、私が歯ぎしりをしているかのような音だった。