天を衝く槍
「ォアッッ」
それでもツァンジーは小さくヒヒヒと笑いながら立ち上がる。
――なんて執念
あんな。
骨も折れている筈なのに。
「…頭潰さんとダメか」
ヨースケが舌打ちをして眉を顰める。
勢いよく地面を蹴って、ヨースケがツァンジーの頭を狙うので、私も彼に続いて体を立ち上がれないように腱を狙う。
「ォおおおおおお!!!」
「はぁぁぁぁあッッ」
-----ドスッ
-----ガッッ
「な…ッッ」
「…っ」
その攻撃を遮られて私たちは目を見開く。
私たちの武器はツァンジーの目から出ている触手によって受け止められているのだ。
「ナメンナヨ?」
あろうことか、その触手の先には口と思しきものまである。
その口が私たちの武器を受け止めているのだ。
その口の鋭く尖った刃のような歯で。
「ソレガシはこんなに口があるからサ、」
ツァンジーは自らの血で黒ずんだ白い体をゆっくりと動かす。
――危険だ
脳がそう叫び、心臓が早く脈を打つ。
「「!!?」」
私たちは本能のままに従おうとしたが、ツァンジーの触手に噛まれている武器を自分の元に手繰り寄せることが出来ない。
「その分、胃も多いんだヨネ」
「ヨースケ!!!」
そう言うのと同時にツァンジーの触手がヨースケへと向かった。