天を衝く槍
-----ザクッ
-----バキィッ
触手が体に噛みつく音がする。
「ぅがぁッッ」
-----ブチブチブチィッッ
その触手が肉を引っ張る音。
「あぁぁぁああぁあ!!!」
ボタボタと赤黒い血が落ちる。
触手はクチャクチャと音を立てながら肉を食べていた。
「お前…なんで……」
ヨースケが目を丸くして、目の前にいる私の後輩を見る。
「あぁぁァァァァァァああああ!!!」
プツリと私の中で何かが切れ、槍を離し、素手でツァンジーに攻撃を与える。
すると思った通り、フォシャールを掴んでいた触手は力を緩めた。
私はその隙を逃さず、槍を触手から奪い取り、彼女とヨースケのツメに噛みついている触手を斬って、その二人と共にツァンジーと距離を置く。
「何やってんの!!!」
「私には、こんなことしか……」
どこからともなく来たダラナが、ヨースケを庇ったのだ。
そのおかげで彼は無事だが、彼女の腕やふくらはぎにはかぶりつかれてそのまま噛み切られた大きな傷が。
「何やってんの!!?馬鹿じゃないの!!?」
私は私たちの為に体を張った彼女に叱咤する。
「止血剤はもう打ってあるので大丈夫です。それより、Lunaを」
「おいダラナ!!?」
そう言うと彼女は、ヨースケの声も振り切ってツァンジーの元へと駆けてしまった。
「クソッ」
私はヨースケと彼女の後を追う。
――大丈夫なわけがない
彼女の顔は、脂汗でいっぱいだった。