天を衝く槍


「……わたし…もっとヨースケに酷いことしたんですか…」


混乱から出た私の言葉は、消えそうにこの部屋に漂う。


「いいや」


彼は私の右側にイスをを持ってきて、そこに座った。


じゃぁ、あれは私がして、他にも忘れてる…?


私が忘れてることはなに?


思い出そうとすると、頭が痛くなる。


ズキズキと痛む。


思い出したくないから、こうなるのだろうか。


私にとって、思い出したくないこと…って。


「…………………………」


嫌だ。


聞きたくない。


だけど。


私の中で生まれる意味のない矛盾。


単刀直入に聞けない臆病な自分。


「……ヨースケの傷…」


何故か、布団にポタリとしずくが落ちる。


「私がやったの?」


「…そうだね」


「何故?」


私は泣いていた。
< 266 / 294 >

この作品をシェア

pagetop