天を衝く槍
「私、ヨースケに怒ってた…?」
「…そうだね」
それを口にすると、ズキッと頭が痛んだ。
すると、とある病室で私がヨースケに向かって何か叫んでいる情景が、思い起こされる。
『なんでそんな言い方するんですか!!!』
泣いているような、自分の声だった。
『あ?他にどう言えって言うんや!!?』
彼も怒っているようで、ぐいっと私の胸ぐらを掴む。
『どうせ、ああなるのは変わらんじゃろうが。それがあの時じゃろうが、明日じゃろうが変わりはせんわ』
ボロボロと涙をこぼして、言葉が出ない私に彼はそう言った。
『――――――――――――――』
そして私は――
「ヒヨコ」
シロさんに呼ばれて、はっと我に返る。
「無理はあまりお勧めしない」
気付けば、シロさんは私の背中を、落ち着かせるようにゆっくり撫でていた。
手が震えていて、頬から汗がしたたる。
「…覚えてないのは、思い出したくないから……」
ポツリと呟く私に、シロさんは小さく、そうだねと肯定した。
あぁ、分かった。
どうして私とヨースケが怒っていたか。
この、胸に穴が開いたような、妙な孤独感があるわけが。