天を衝く槍
暫くして、病室にノックする音が響いた。
「ほらなー?言った通りだろー?」
「あ、ほんとだ」
入ってきたのはアルとジルだった。
気のせいか、二人とも顔が緩んでいる。
「よう、シロー。どうだ、調子」
「なんか久しぶり。Luna倒してから任務がハシゴだもんね」
ジルがシロさんに話しかけ、アルが私に話しかける。
ふとそこで、2ヶ月ぶりにあったアルに私は、違和感を覚えた。
――アルってこんな感じだったっけ
短髪なのは変わってないが、なんていうか丸くなったというか……。
失礼かもしれないけど、アルってこんな女性らしい体つきだったっけ?
「コウガ?」
ぼんやり彼女を見ていて、アルが不審に思ったのだろうか。
私の顔を覗き込んでいた。
「あ、いや……なんだっけ?」
あははと、ぎこちない笑顔を彼女に向ける。
「ヨースケいないけど、あいつにはまたちゃんと話すとして…」
アルがコホンとわざとらしく咳払いをし、言う。
「おいコラァ、誰が俺抜きで言おうとしとんねん!」
ガバァっとドアを開けて、ヨースケがズカズカと入ってくる。
「あれ、おかえり」
「丁度良かったね。今言おうとしてた」
「あ、ヨースケ」
ジル、アル、シロさんが彼を見て口々にサラッと言う。
なんでアルが言おうとしてたの分かったんだろ。
私はそればかり思っていた。