天を衝く槍
Aliceについたのは全速力で行って、約2日後だった。
息も上がってて、乾燥した空気が喉を通る度にヒリヒリする。
そんなことに構ってられない程、私は焦っていた。
あれからシロさんは急激に体調が悪化したらしい。
もういつ死んでもおかしくない状態なのだと、フューチェが言っていた。
院内は走ってはいけないと分かっていながら、ドタドタと駆けずりまわる。
「走らないでください!」
案の定、看護師に叫ばれたがお構いなしだ。
「シロさんッ!」
彼の病室に入って、傍に行く。
ゆっくりと上下に揺れている胸を見て、ほっと安心する。
何処を見ているのかよく分からない瞳は、相変わらず綺麗な黒だった。
隣にあるはずのアルのベッドはなく、移動させられたのか、それとも気を使って移動したのかは定かじゃない。
この部屋に、荒い私の息遣いと、シロさんの懸命に息をする音だけが響く。
部屋にある時計を見ると、12月27日15時23分を指していた。