天を衝く槍


それから着つけてもらった私は、彼から「女用のが欲しかったらソンジュさんに言って」と言われた。


――…女用のじゃないのか、これ


因みに私が着ているのはハカマというもので、ジューシローのはキナガシというものらしい。


それから私はジューシローと花見の場所へは行かずに、自室に戻った。


「あれ、コウガそれどした?」


アルが珍しいものを見るような目で私を見る。


「貸してもらったの、ジューシローに」


そう言って私が事の顛末を話すと、アルは大笑いした。


「………………」


――…何故笑う?


「ごめんごめん、やっぱコウガ面白いわ」


そう言って涙をぬぐう。


「………………」


どうやら彼女のツボに入ったらしい。


漸くアルの笑いが収まった後、私とアルはその場所へと足を進めた。
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