天を衝く槍
「そういえば、何で早く行って席取っておく必要あったの?」
私は気になったことを聞いてみる。
彼女は「あー…それ、ちょっと話ズレルかもしんなけど、」と前置きする。
「あの5人いるじゃん?」
アルがエレベーターの4階のボタンを押す。
――5人?
「あ、ジルたちの?」
エレベーターが下降して、アルが頷いた。
「簡単に言うと、あいつらはアタシらの部隊の中で強いヤツの塊なんだ」
――うわ、容姿端麗で強いとか
ありきたりな話だけど羨ましすぎる。
「で、あの中での強い順はこう」
彼女は端末を取り出して、指で書く。
フィーネ>>>ジューシロー=ジル>ヨースケ>ギル
「つまり、シローとジルは実質アタシらの部隊の中で二番目に強いってことになる」
エレベーターが止まって、ドアが開く。
「4年……いや、3年くらい前かな」
アルがエレベーターから降りて歩き出す。
「花見した時にね、シローが席取ってたんだけど、」
アルが「結構いい場所をね」と付け足して、私を見た。
「シローが取ってた席が、いつの間にか他の人に横取りされてたんだよ」
「……お、おう…」
――なんとなく、この先が予想つく
「そしたら、シローがキレて暴れ出してさ~」
外に出ると、暖かかった。
「シロー強いから花見どころじゃなくなって」
――やっぱそうなるんだ
「で、そっから花見の場所は横取りすんじゃなくて、早いモン順になったってわけ」
「うわお」