天を衝く槍
「…失礼しました」
ソンジュさんの部屋を出て、トレーニングルームに行く。
「……あれ、アル?」
前からアルと誰かが黒を基調とした服に身を包んで、歩いて此方に来ていた。
アルは肩から袖にかけて、赤のラインが入っているジャケットを羽織っている。
その下は白のカッターシャツに濃い赤のネクタイをしていた。
そして丈の短いスカートと編み上げのブーツを履いている。
一方、アルの隣にいる人は、彼女が着ているジャケットの代わりに、腿まである、赤い蜘蛛の巣のような模様の入ったポンチョのようなものを着ていた。
そしてブーツを履いていて、二人ともネクタイはキチッと締めておらず、第1、2ボタンを外して着崩していた。
因みにアルの隣にいる人はフードを深く被っている為、誰か分からない。
二人の左胸に、一本の黄色のイバラで巻かれている白い三日月が刻まれていた。
「やっほ、コウガ」
アルが私に手を振る。
「何事?」
もう少しで「葬式?」と言うところで言葉を飲み込む。
――そんな縁起でもない
「え?アタシらこれから任務」
キョトンとした表情を見せたアルは「ね、ギル」と隣にいる人に言った。