天を衝く槍
「あ、シロさんシロさん!!!」
私が元気よく彼のニックネームで呼ぶが、彼は耳を貸してくれなかった。
「……呼ばれとるで、ジューシロー」
ヨースケがそう言うと彼は諦めたように、息を吐き、「……………なに」と口を開いて私に言った。
「私に剣を教えてください!かっこよかったです!!!」
私はガバッと頭を下げる。
「………………」
「………………」
「………………」
―—……あれ、なんでみんな黙るの
私が不思議に思って頭を上げると、ギルが「あちゃー」とでも言いたげな顔をしていた。
「い、いやぁ、とりあえず槍が扱えるようになってからな」
と、ヨースケは何故かワザとらしく私がシロさんから教わるのを遠回しに拒否する。
―—…なに?
私がそう思ってシロさんの顔を見てみるが、特にこれといって変わった様子はない。
「………………」
私はこの様子を見てキョトンとする。
―—なんなんだ?
……もしかして指南がものすごい厳しいとか?
とりあえず、ヨースケが言ったように槍が扱えるようになってからシロさんの所へ行こう。
私はご褒美をもらえることを知った子供のように、胸を躍らせたのだった。