天を衝く槍
ドアを開けると、極東の国の伝統的な生物がぬぅっと姿を現したのだ。
赤くて、顎が出てて、口から牙も出てて、顔が大きくて、3等身で黒い髪が長い。
全身は藁のようなもので覆われていて、手には大きな包丁。
私が縮こまって腰を抜かしていると、あ…今日はイモ顔じゃないんだと、その生物からくぐもった、私が探していた人の声が聞こえた。
それが分かった私はすぐに半目にする。
「何しに来たの?」
被り物を脱いだシロさんが満足そうな笑みを浮かべて私に聞いた。
「食堂に行きましょう、食堂に」
やっと立ち上がれるようになった私は、なんで?と、彼が聞いてこないことを祈りながら言う。
一瞬、彼の顔に疑問の表情が浮かんだ。
だけどすぐに納得したような表情を見せ、あぁ…と目を伏せた。
「………………」
その時、彼は何故か少し悲しい目をしていたような気がした。