天を衝く槍
6.ちょっとしたお礼
――月光歴216年2月12日
年が明けて、一年で最も寒い時期となった。
この頃になるとAlice内の人たちは、夜勤明けだろうが、眠たいのだろうが、しっかり目を開けて食堂以外の調理室を借りてお菓子を作っていた。
今月の14日に、好きな人や友達に日頃の感謝の意を込めてお菓子をプレゼントするというイベントがあるのだ。
その為、日中いい匂いや焦げ臭い匂いがAlice内を漂っていた。
もちろん私とアルもお菓子を作っているわけで。
「げ。アル、今年も作んの?」
私たちがお菓子を作っていると、通りかかったジルがひょっこり顔を覗かして言った。
彼のその反応からして、去年はとんでもない目に遭わされたらしい。
「あんれー?ジル欲しくねーんだ?」
アルが勝ち誇ったように言い、口角を上げる。
―—とか言って、渡すクセに~
私はそう思い、ニヤける口元を隠した。
「い…いらねーよ!ソレ食ったら腹壊しそうで怖いわっ」
ジルが彼女の目の前に置いてある真っ黒な四角い塊を指して言った。
因みにこの食べ物は焦げたのではなくて、元々こういう色である。
「いらないんですか?アルの手作りなのに?」
私はワザとらしく不思議そうに首をかしげ、声を張り上げた。
「ソレ去年も見たぜ?去年も」
ジルが奇妙なものを見る目でソレを見る。
「ソレ食べたことねーから『食べれないのか』って言えんだよ」
「いや、でも――」
「因みに、去年アルが作ったソレを食べた俺は、○○○が○○○で○○○○だったんだぜ?」
ジルは私の言葉を遮って言い、そんなもん食えっかと、外方を向いた。
「いや、伏せ字だらけで全然分かりませんから」
年が明けて、一年で最も寒い時期となった。
この頃になるとAlice内の人たちは、夜勤明けだろうが、眠たいのだろうが、しっかり目を開けて食堂以外の調理室を借りてお菓子を作っていた。
今月の14日に、好きな人や友達に日頃の感謝の意を込めてお菓子をプレゼントするというイベントがあるのだ。
その為、日中いい匂いや焦げ臭い匂いがAlice内を漂っていた。
もちろん私とアルもお菓子を作っているわけで。
「げ。アル、今年も作んの?」
私たちがお菓子を作っていると、通りかかったジルがひょっこり顔を覗かして言った。
彼のその反応からして、去年はとんでもない目に遭わされたらしい。
「あんれー?ジル欲しくねーんだ?」
アルが勝ち誇ったように言い、口角を上げる。
―—とか言って、渡すクセに~
私はそう思い、ニヤける口元を隠した。
「い…いらねーよ!ソレ食ったら腹壊しそうで怖いわっ」
ジルが彼女の目の前に置いてある真っ黒な四角い塊を指して言った。
因みにこの食べ物は焦げたのではなくて、元々こういう色である。
「いらないんですか?アルの手作りなのに?」
私はワザとらしく不思議そうに首をかしげ、声を張り上げた。
「ソレ去年も見たぜ?去年も」
ジルが奇妙なものを見る目でソレを見る。
「ソレ食べたことねーから『食べれないのか』って言えんだよ」
「いや、でも――」
「因みに、去年アルが作ったソレを食べた俺は、○○○が○○○で○○○○だったんだぜ?」
ジルは私の言葉を遮って言い、そんなもん食えっかと、外方を向いた。
「いや、伏せ字だらけで全然分かりませんから」