天を衝く槍
「え、何これ。スッゴイうまいじゃん」
「だから言ったろー?」
ジルがソレを一口食べた後に言い、アルは頬を少し赤らめて嬉しそうに言った。
あぁ、もう、アルが可愛い。
なんて少しレズじみたことを思いながら私は、まだ試作品の段階なんですけどねと、言う。
「試作品?んじゃ、まだこれよりスゲーのができるってことか?」
ジルの顔が子供のようにキラキラ輝く。
「可能性はある」
「おっし!んじゃ、がんばれよ」
そして彼がソレの一切れを食べ終わった後、立ち上がって言った。
「言われなくてもがんばりますー」
アルが口を尖らせて言った後、ジルは彼女の頭にポンと手をおいた。
「楽しみにしてっから」
そう言って彼は調理室から出て行った。
「………………」
私は次の作品の準備をする。
彼女は彼が出て行った入り口を見ていた。
「……ばっかやろ…」
そんな小さなつぶやきが聞こえて、私はふとアルを見ると、彼女の耳がほんのり赤くなっていた。
そんな光景をほほえましく思いながら、私はにやける口元を再び隠したのだった。