天を衝く槍
ソンジュさんが車の窓を開けると、風が入ってきて私の短い金髪を撫でた。
「あれがAlice」
そして彼は、丘の上に築かれている大きな城を指す。
「あれが君の職場であり、家」
ソンジュさんがキャンディーをかじる音がする。
私は大きな城に目を奪われた。
心臓の鼓動が早くなる。
私は魅せられたのだ。
「…あれが……私の家…」
橋を渡って、車が停まるまで私は惚ける。
ソンジュさんがコホンと咳払いをした。
「見惚れるのも分かるけど、着いたよ」
苦笑した彼に肩をトントンと叩かれて私は、漸く我に返った。
車を降りて下から城門をくぐる。
ビルよりも大きな城というだけあって、城内に入るまでの階段が多かった。
城内に入る頃には私もソンジュさんも、息が切れていた。