天を衝く槍
「でもこれ、普通はクリスマス前に作って食べるクリスマスケーキなんですけどね」
「へー」
ギルは食べることに必死なのか、棒読みで返した。
「で、これ、全部作ったの?」
シロさんが肘をついて私に聞く。
「はい、そうですけど……………お口に合いませんでしたか?」
もしかして甘いものが嫌いだったのだろうか。
シロさんの分だけ砂糖を少なくしとけばよかったのかもしれない。
それともシロさんの分だけ焦げてて不味かったのだろうか。
私の頭のなかで色んな事が飛び交う。
「いや、美味しかったよ」
シロさんはそう言い、私の目を見た。
それを聞いた時、私はホッとした。
「それならよかっ――」
「剣もそれくらい上達すればいいのに」
彼は私の言葉を遮り、ボソッと言った彼の言葉を私は聞き逃さなかった。
「………………」
「シロー、それ言っちゃいけないって」
ギルがシロさんに耳打ちするが丸聞こえである。
だが、私は気にしない方向でいく。
シロさんは正直なんだからしょうがないのだ、と自分に言い聞かせて。