天を衝く槍
「……で、俺のは?アル」
ジルの発言で、私を含む四人の視線が一気にアルに集まる。
フィーネさんはまたいつの間にか、いなくなっていた。
アルは無言で少し頬を赤らめながら、小さな黄色にラッピングされたものをジル渡した。
「さんきゅー」
それを受け取った彼はるんるんで自室に戻って行き、アルは照れたように笑った。
―—青春だなぁ…
そんな和やかな風が吹いたのも、束の間。
ジルの姿が見えなくなって、アルは一人、急に「くくくっ…」と笑いはじめたのだ。
「……え…ちょ、どうした?」
ギルが半笑い、且つ、不思議なものを見る目をして聞く。
「実はあん中、ギルに教えてもらったクッキーが入ってんだよ」
ニヤリと笑ってアルが言った。
「…え?」
ギルが一瞬、キョトンとした表情を見せ、引き攣ったような笑みを浮かべる。
「………………」
……引き攣った笑い顔が彼に似合うのは何故だろう。
私はそう思いながらぼんやり彼の顔を見ていた。