天を衝く槍


「あ、来た来た」


私が急いで約束の時間にソンジュさんのお世辞にも綺麗とは言えない部屋に飛び込んだ時、彼が笑顔で言った。


時計を見ると14時58分。


よし、ギリ間に合った…っ。


少しかいた汗を拭って、私はシロさんに貰った資料に目を通す。


今回もウサギの討伐のようだ。


……というか、ウサギの討伐以外に私達の仕事はあるのだろうか。


そんな疑問が頭をよぎった時、ソンジュさんがパンと手を叩く。


彼が話す前に必ずする癖だ。


「はい、今回はこのメンバーで行ってもらうからね」


異議は認めないと目で訴える、そんな彼の黒い瞳が冷たい。


今の彼にはいつもののほほんとしている影は見られず、職務を与える上司の顔をしていた。


メンバー。


私とシロさんと、ラガー。


この三人の力量から考えて、まだラガーと私だけなら分かる。


シロさんと私だけっていうのも分かる。


だけどシロさんとラガーと私とは多い。


今回の任務はそれだけたくさんのウサギを葬らなければならないのだろうか。

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