天を衝く槍
ソンジュさんは大きな世界地図を引き出しから出し、広げる。
「今回は資料に書いてある通りの国。行き方とか詳しいことは書いてあるから聞かないでね」
彼はそう言いコホンとワザとらしく咳払いをした。
「ウサギの巣があるらしいから殲滅しといて」
妙にこの場が冷たくなった気がした。
「それから20日前の任務でリャノ達がLunaに出会ったらしい」
その言葉を聞いた、目が鋭くなったシロさんが私の目に入った。
「もしかしたら今回も遭遇するかもしれないけど、前みたいに手は出さないでね。ジューシロー」
ソンジュさんはそう言い、シロさんの方を見て、今回の任務にLunaの殲滅っていうのは無いからと、付け足して少し困ったように微笑む。
「チヤクじゃなかったらね」
シロさんは冷たい声音でそう言い、薄く笑った。
ソンジュさんは困ったように目を閉じて息を吐くが、シロさんがそう言うのを予想していたようだった。
「もしもの時は、ラガー」
ソンジュさんはモヒカンに目を向け、今回もよろしくと、力無く笑う。
「…んじゃ、一応終わりかな」
ソンジュさんは地図を片づけながら言い、シロさんは部屋を出ていった。