天を衝く槍
*****


「食べもんは重要だよな?」


私が食堂で朝ごはんを食べていると、突然、ギルが口を尖らせて私に賛同を求めるように言った。


彼の眉間にはシワが寄っていて、どうやら誰かとちょっとした喧嘩中のようだ。


「え、まぁ…特に朝ごはんとか?」


私は突然のことで曖昧な言葉を言い、ギルはそれを聞いた途端に不貞腐れた様な顔をして、シロー!と、肘をついている彼を呼んだ。


「何?」


彼は朝から疲れているような声音でギルに聞いて、気怠そうに彼を見た。


一瞬、私と目が合った気がした。


「朝ご飯大事なんだってば。だから食えって」


「いらない。欲しくないから」


シロさんはギルが差し出したおにぎりを尻目に見て、お茶を啜った。


どうやらギルは、何故か朝ごはんを食べようとしないシロさんと少々モメているようだ。


ギルがあんなに言うということは、私が知らないところでこんなことが多々あったのだろうか。


そんなことを思いながら、私はギルとシロさんのやり取りを観察する。


「だって全然食ってねえじゃんか、シロー」


「食べてる」


「どーせ、ふやかした米粒13個だろ!!?」


「違う」


「嘘ついても俺には分かってんだからなっ」


「ついてない」


「んなこといいから食えっ」


ギルがシロさんの口に無理やりおにぎりを突っ込もうとして、それを頑なに拒むシロさんが目に入る。


「しつこいよ、ギル」


そんな言葉と共にギロリと睨まれたギルは怯んで、力なく項垂れた。


「だってシローが食わねえんだもん…餓死したらどうしようって思うだろーが」


「…………………」


「…………………」


面食らっているシロさんが目に入る。


ポツリと呟くギルに、即座に私は何て声をかければいいのか分からなかった。


笑ってギルを馬鹿にすべきか、それとも、そんなことはないとギルを励ますべきか。


分からなかった。


実際、餓死とまではいかないが、シロさんは他の人と比べて痩せているように見えるし。


……気のせいか、前より彼が痩せているような気がする。


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