あたしの旦那は保健医です!?
「おい、何でなのか言えよ!理由言えよ!」
「杏の母親とうちの母親は仲良しなんだよ。学生時代のときに約束したんだと。
お互いの子供達を将来結婚させようって。杏は母親が死んで、独りぼっちになった。だから、俺の家にいる」
「そういう理由かよ。
だったら俺は…」
「違う!」
「何が違うんだよ!」
「最初の頃はどうでも良かった。
でも、だんだん杏を支えたくなった。
杏を幸せにしたくなった。
杏のことが好きになったんだ。
だから、俺は杏を譲らない」
「先生は俺の気持ちがわかんのかよ!?
俺だって杏を幸せにしたいんだよ。
杏が辛くても笑ってるときに側にいたのは俺なんだぜ?
俺は先生の知らない杏をたくさん知ってんのに!!!」
「そんなことは知ってる。
だから、俺はまだ杏に気持ちを伝えていないんだ。
杏は優しいから、気遣い屋だから、遺言書に書いてたから…、仕方なく…なんて理由で決めたら嫌なんだよ。
婚約届けだって、サイン書いてあるけどまだ出してねぇよ。
俺だって負けないくらい好きなんだよ。
こんな気持ちになるなんてらしくないって思うほど、カッコ悪くても杏が手に入ればいいって思うほど、杏を幸せにしてやりたいんだ」
「……先生、杏のこと本当に幸せにできますか?
俺に誓えますか?
俺は杏が幸せならいいんです。
杏をお願いします。
でも、泣かしたら俺がもらいますから」
「ありがとう、わかってくれて」