あたしの旦那は保健医です!?

放課後、準備室Aに約束通りに行く。

さっきまでの雨は少し止み、小雨になっていた。


「矢野、話しって?」

「杏、ごめん!!!」

あたしはびっくりした。
まさか、謝れるとは思っていなかったからだ。

「あたしこそごめん。
急に飛び出してごめん」

「杏、俺昨日先生と話しをしたんだ」

「話し?」

「そう。

杏、結婚してるんだろ?」


「……うん。
でも、、、」

「でも?
結婚したくない?
先生が嫌いなの?」

「ち、違う!
あたしは涼のこと、す、好きだもん!!!
でも、涼は違うもん。
あたしに同情してるだけで……」

「あははは」

「な、何で笑うの!?」

「だってお前ら同じこと言ってるから。
杏が結婚したくないのに遺言書に書いてるから…とか、仕方ないから…とかで結婚するんじゃないかって。

お前のこと、大切に想ってるんだな」


「え?」

「負けたよ、杏、先生は杏のことすごく想ってるよ。
想像以上にな。」


あたしは言葉が出なくて、
代わりに涙がとどめなく出てきた。


涼の所に行かなきゃ、
涼にあたしの想い伝えなきゃ!!

「行ってこいよ、杏」

「矢野、、ありがとう」


あたしは全力で廊下を走った。
涼のいる保健室へと無我夢中で走った。
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