ブラック王子に狙われて②


それまでも、俺だけを見て欲しいとか

他の誰にも渡したくないとか、

考えたことは山ほどあるけど。

だからと言って、ある程度の距離感があったというか。

まだ高校生というのもあるから、

所詮……という、ちょっとお粗末な思考が働くのも当然で。


だけど、あの夜を境に、

俺の中で確実に変わった……。


何が何なのかはよく分からないけど、

たぶん、恋が愛に変わったような気がする。

目に見えて何かが変化したとかではないし

何で?と聞かれても困るんだけど。


数日後、数か月後、

よくて数年後くらいしか思い描かなかった未来が、

あの晩を境に、何十年先、年老いてもと思う自分がいる。

俺の隣りにずっといて欲しい願望の塊なんだろうけど

それが、俺の中では衝撃的で。


目の前にいるコイツが、

この凍りついてた俺の心を溶かして

そして、占領し続けている。


< 101 / 288 >

この作品をシェア

pagetop