ブラック王子に狙われて②
濃いめのグレー地に織で縞っぽい柄の入った浴衣。
帯は黒字に少しだけ柄の入ったもの。
母親曰く、シックで上品かつ大人の男の色気だそうで。
ユウと並ぶと、高校生には、まぁ、見えねぇな。
ユウは183センチ、俺は182センチ。
長身でイケメン2人で歩けば、結構目立ちそう。
「ユウの髪、なんかいい匂いするな」
「あ、これ?新しいワックスにしたから。ゆずに勧められて」
「あーなるほど」
ゆずちゃんはヘアメイクさんになりたいとかで
いつもユウの髪もアレンジしたりしてる。
部活で汗だくになるからと、
お洒落なんて気にしなかった男が
ゆずちゃんと付き合うようになって
だいぶ様変わりした。
「よし、女の子待たせちゃ悪いから、そろそろ行くか」
「おぅ」
俺らはいつも、待ち合わせ時間より
30分くらい早く待ち合わせ場所に行くようにしている。
ゆずちゃんにいい所を見せたいらしい。
まぁ、俺もさして変わらないけど。
階段を下りて玄関へ向かおうとした、その時。
「慧っ」
「あ?」
母親がリビングから出て来て、
にっこりと無言でお金を握らされた。
「絢ちゃんに♪」
「あーはいはい」