ブラック王子に狙われて②
駅まで向かう道のりで。
「お前の母親、絢ちゃんにベタ惚れだな」
「ん」
「まぁ、うちの母親も同じか」
「あの2人、美人だし可愛いし、性格もいいしな」
「それそれ。姉貴が、俺は甲斐性無いから別れてあげなって煩い」
「フフッ、相変わらず毒舌だな、お前の姉貴」
「最近なんてさ、親もいるのにイチャラブしてて、目のやり場に困るんだよな」
「フッ、千穂さんらしい」
「だろ?……でもさ、姉貴があーしてレール引いてくれると、ゆずと付き合うのも結構ラクで」
「だろうな」
「家でゆずにベッタリしてても口煩く言われなくて助かるけど。慧んとこは?」
「うち?……俺んとこは、完全黙認ってやつかな。俺が手出してるのも知ってるし、だから2階には夕食の時に声掛けるくらいしか上がって来ない」
「へぇ~、なんか意外だな」
「そうか?」
「うん、しょっちゅう顔出してるイメージだったから」
他愛ない会話をしながら、駅に到着した俺らは
日陰になる場所で壁に寄り掛かり、話の続きをしていると。
「あのっ……私達と花火見に行きませんか~?」