ブラック王子に狙われて②


電車に乗り込み、ドア部分に絢を囲って、

ぷくっと膨れてる絢に視線をロックしてると。

そんな俺の方に顔を持ち上げ、

今にも泣きそうな瞳で見つめられた。


「何て、ナンパされたの?」

「……一緒に花火見に行きませんか?って」

「へぇ~」


聞いたのは絢なのに、納得いかないみたいで

尚も頬を膨らませて視線を逸らした。

そんな彼女の腰に手を回して抱き寄せる。


「ちゃんと撃退しただろ?」

「うちらがもう少し遅かったら、あの人達と仲良く話してたでしょ?」

「俺は撃退役だから、話したとしてもユウの役割だよ」


視界に収めるのも躊躇するくらい可愛さ駄々洩れの絢。

くるんと巻かれた睫毛に、愛らしいオレンジのアイシャドウ。

ほんのり色づくチークに、つやつやのオレンジピンクっぽい色のグロス。

髪はふんわりと左サイドに纏められてて、

パールとラインストーンが散りばめられた簪が挿してある。

見下ろす俺の視界に映る、色気のあるうなじ。

そして、極めつけは、沖縄旅行の時より成長したっぽいお胸様。


白い大人びた浴衣が似合う和美人になった絢。

目の置き場所に困るだろっ。

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