ブラック王子に狙われて②
屋台巡りで夕食も済ませ、
20時から始まる花火大会の会場へと移動して。
「慧、はぐれるかもだから、スマホの電源切んなよ?」
「分かってるって」
「俺ら、かき氷買いに行って来るな?」
「おぅ、気を付けて」
俺らはさっきかき氷を買っておいたから、
それが羨ましくなったようで、
ユウ達は買いに戻って行った。
「絢、あそこに座るぞ」
「あ、はいっ」
慣れない下駄で足が痛い素振りを見せる絢を気遣い、
俺は通りから少しそれた縁石の上に彼女を座らせた。
「えっ、ちょっと/////慧くんっ/////」
「じっとしてろ」
「っ//////」
下駄を脱がすと、案の定、鼻緒部分が赤くなっていた。
母親から言われて持参しておいた絆創膏を財布から取り出し
それを患部に優しく貼る。
「慧くん、ありがとっ/////」
「どう致しまして」
「いつも持ち歩いてるの?」
「いや」
「今日は特別に?」
「母親に言われたから。女の子は必ずここが痛くなるって」
「……ママさん」
『ねぇ、見てっ。あそこの人、めっちゃカッコいい!モデルさんとかかな~?』
『隣りに彼女いるよ?』