ブラック王子に狙われて②
なるほどな。
絢、お前、どんだけ俺を惚れさせたら気が済むんだ。
俺の可愛い彼女は、
近くにいる女子に嫉妬したようで
牽制する意味合いで、俺に扇子を持たせて
それをカーテンのように遮る素材にした上で
俺の首にキスマークを付けた。
「満足か?」
「うん//////」
滅多な事じゃない限り、
いや、俺が付けろと言っても速攻で拒否る彼女が
頼んでもいないのに、自ら仕掛けて来た。
俺を『彼氏』として堂々と横に立たせたいらしい。
何てことないよくある陰口に対抗して
絢なりに頑張ってしてくれたんだろうけど。
牽制したいなら、もっといい方法があるのに。
「絢」
「ん?」
「あの子らに見せつけたいんだろ?」
「っ//////」
「なら、簡単」
「え?んっ……っ……んッ//////」
19時を過ぎてて、灯りはあるものの
夜の薄暗い中で、キスマークは遠目じゃ見づらい。
だから、俺は、堂々と。
彼女らにちゃ~んと分かるように、絢にキスをする。
それも、結構なハードなやつを。
人目も憚らず、数分の濃厚なキスをした俺は
ゆっくりと唇を離すと、とろんとした表情の絢を視界に捉えた。
「あっ」
ヤバい。
この顔は他の男には見せれねぇ。