ブラック王子に狙われて②
慧くんの家に到着した私達は、
おやつと飲み物を手にして2階に上がる。
彼の部屋に入ると、既に部屋は温められていた。
「あったかぁ~いっ」
コートとスヌードを脱いで、
お決まりの所定の位置に座ると。
ホットカーペットも既にONになっているようで
さっき、彼が『連絡入れとこ』と言ったのを思い出した。
「慧くん、ありがとっ」
「ん?」
エアコンとカーペットを指差すと
フッと一瞬だけ表情を緩めた。
「絢、進路決めたか?」
「ん~、特には」
「やりたい事とかは?」
「それも、特にこれと言って」
試験前になると、必ずと言っていいほどに聞かれる質問。
照準を何処に合わせるのか、気になるのだろうか?
それとも、志望するところが気になるのか。
「慧くんは?」
「俺?……どこでも構わないけど」
「え?……どういう意味?」
「絢がいる所なら、どこでも」
「それ、進路の話じゃないよね?」
「進路の話だけど?」
「へ?」
彼の言葉に軽く脳内が思考停止した。