ブラック王子に狙われて②


「将来仕事するとして、手に職つけて働くのと、オフィスでOLとして働くのとではどっちがいい?」

「う~ん……後者かな。手に職つけるって、看護師とか美容師とか、保育士とかみたいなやつでしょ?」

「まぁ、一般的には。パティシエとか通訳士とか税理士とかも同じ類だな」

「……じゃあ、やっぱり後者かな。あまり目立たないような、それでいて誰かのためになるような仕事が出来れば」

「フフッ」

「何?何で笑ったの?」

「いや、悪い、ごめん。ちょっと、どストライクだったから」

「へ?」

「だから、何でもないって」


慧くんの脳内は複雑すぎる。

何がどストライクなの??

人のためになる仕事が、私に合わないと思ってるのかな?


「誰かのために働くのは、向いてない?」

「いや」

「じゃあ、何なの?」

「ごめんごめん、今のは忘れて」


イラっと来て、ぷくっと脹れて見せたら

柔らかい笑みを浮かべて頭を一撫でされた。

そんなことしても騙されないんだからね?!


テーブルの上に数学の教科書を置いた彼は、

肩肘をついて、妖美な視線を向けて来た。


「さて、勉強を始めますか?」

「っっっ/////」

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