ブラック王子に狙われて②
「今、絢の成績をめっちゃ頑張って上げてるから」
「……それで?」
「さすがに残り1年で東大クラスは無理でも。目標の大学へは余裕で受からせてやりたい」
「……ん、で?」
やけに食い下がるな……。
仕方ねぇ、話すか。
「ゆくゆくは、俺のサポートして貰うつもりだから」
「それ、絢ちゃんの許可取ってんの?」
「……まだ」
「早めに話した方がいい。もしかしたら、絢ちゃんには絢ちゃんの夢があるかもしれないし」
「それは分かってる。無理強いするつもりはない」
「それならいいけど」
もう解放ってことでいいのか?
冷茶を手にして部屋へ戻ろうとした、その時。
「けじめはしっかりつけなさいよ?中途半端な気持ちだと、相手に失礼だからね?」
「……分かってるって」
俺は振り向きもせず、リビングを後にした。
自室のベッドに倒れ込む。
はぁぁ~~……焦ったぁぁ……。
もっと突っ込まれたらどうしようかと。
とりあえず、何とか乗り切ったけど。
だけど、多分気付かれてる。
だって、『けじめはつけなさいよ?』と言われたから。