ブラック王子に狙われて②
「明日、話してみる」
「あら、クリスマスに~?」
「っ……」
「うちに来る予定なの?」
「ん」
「じゃあ、ご馳走作らないとね♪」
なんか、こういう流れ苦手なんだけど……。
まっ、いいか。
その夜。
ネットでお気に入りの香水を2つ購入した。
1つは自分用、もう1つは彼女用に。
**
翌日。
母親は朝から張り切っていて、
鼻歌交じりで掃除をしたり、ケーキを作ったりしている。
父親は出張中で不在。
俺は絢が来るのを今か今かと待ち侘びていた。
10時少し前、絢がうちに来た。
相変わらず可愛いっっっ。
白いモフモフのセーターに赤いチェックのスカートを合わせて。
緑色のバッグを手にして、クリスマスコーデらしい。
「メリークリスマス」
「っ/////メリークリスマス♪」
玄関先でいう言葉じゃないかもだけど、
初見で言わないと効力が薄れる気がして。
「絢ちゃん、いらっしゃい☆」
「こんにちは~お邪魔します」
ぺこりと挨拶した絢は、
ショートブーツを脱ぎ、しっかりと靴の向きを揃えて端に寄せた。
こういう当たり前のことが出来ることが男心を擽るんだよな。