ブラック王子に狙われて②
キッチンから飲み物やおやつを手にして2階に上がる。
母親に目で『暫く来るなよ?』と訴えておいて……。
まぁ、母親も分かってるはず。
昨日の今日だし。
俺が絢にちゃんと態度で示すということになってるから。
絢はいつものようにラグの上にちょこんと座って、
自身の鞄から何やら取り出している。
「慧くん、これうちの両親から」
「え、……なんか気ぃ遣わせたな」
「袖下だから、ウフフッ」
うちの両親も用意してるからお互い様だけど、
こういう事が出来ること自体が嬉しくて。
「絢、ちょっといいか?」
「ん?」
ティーポットから紅茶を注ぐ手が止まり、
ポットをテーブルの上に置いて、俺に視線を向けて来た。
「話があるんだけど」
「……ん、何?」
ラグの上に座る彼女の腕を引き寄せ、
ソファーに座る俺の横に座らせて。
「俺さ、大学入ったら会社立ち上げようと思ってて」
「えっ?!……会社??」
「ん」
予想通り、絢は驚愕の表情を浮かべた。