ブラック王子に狙われて②
慧くんママが手にして持って来たのは、かなり分厚いアルバム。
0歳児の頃から中学校に入るくらいまでの写真がびっしりと。
それをじっくりと眺めていた、その時。
彼と彼のお兄さんと、そして、とある女の子の3ショットの写真が。
それも、1枚ではなく、何枚も。
「ママさん、この子は?」
「え?………あ……」
何、その表情。
『しまった』みたいな顔されてますよ?
見ちゃいけない写真だったのかな?
次のページを捲っても、またいる。
しかも、その女の子、慧くんのことが好きみたい。
どの写真も慧くんの腕に絡みついてる。
「従妹とかですか?」
「………従妹ではないかな」
「………そうなんですね」
何、今の『間』。
しかも、さっきより表情が硬いんですけど。
何だか、嫌な予感がする。
彼の初恋の子?
家族旅行だと思われる写真にも写ってるし、
クリスマスとかのイベント写真もたくさんある。
ってことは、長年一緒に過ごしたことを物語ってて。
私は平静を装ってアルバムを閉じた。
それ以上、見たくなかったから。
「ビデオとアルバム、有難うございました!お風呂に入る用意して来ますね」
「……えぇ」