ブラック王子に狙われて②
2階のゲストルームに逃げ込んだ。
私に用意された部屋なんだけど、
慧くんの部屋の2つ隣で、普段は使われてない部屋。
その部屋のベッドに倒れ込んだ。
さっき目にした子の残像が目に焼き付いてて。
ぎゅっと胸が締め付けられる。
慧くんが好きだった子、だと思うから。
分かってる。
あんなにカッコいい彼だもん。
きっと幼い時からモテてただろうし。
だけど、何ていうか。
幼稚園や学校でのスナップ写真と違って、
プライベートな自宅や家族旅行にまで
一緒に写っていることが受け入れ難くて。
コンコンコンッ。
「絢、……風呂空いた」
「………はい、今入ります」
ドア越しの彼の声。
姿が見えなくて助かった。
だって、今見たら、絶対抱きついてしまいそうで。
お風呂に入る用意をして、浴室へとダッシュした。
**
神宮寺家の浴槽はちょっと変わってて、
L字型をした浴槽で、天井から滝湯のような
ミスト湯のような湯が出せる仕組みが搭載されている。
そんな仕様のスイッチを押し、
天井からの湯を頭から被って―――。