ブラック王子に狙われて②
絢にお風呂が空いたことを伝えたが、
返答に抑揚がないことがいい証拠で。
完全に嫌な思いをさせてしまったようだ。
さて、どうしたものか……。
お風呂から出て来たら、
彼女にちゃんと話さないと。
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お風呂から出て来た絢は、
俺の部屋に来ることなく、部屋に閉じこもってしまった。
あんなにも『お泊り』を楽しみにしていたのに、
綺麗な心を踏みにじるような真似をしてしまった事が心苦しくて。
コンコンコンッ。
「絢、入るぞ」
返事がない。
もう寝てしまったのだろうか?
22時半過ぎ。
俺は彼女がいる、ゲストルームのドアノブを捻った。
「絢?」
「………」
頭から布団を被って丸まっている。
完全に俺から逃げるみたいな仕草に胸が締め付けられる。
彼女がいるベッドに腰掛け、布団の上からそっと叩く。
「絢……ちょっと、話そうか」
「………」
尚も無言のまま。
本当はそっとしておく方がいいのかもしれない。
だけど、俺の左胸が『危険』だと警報を鳴らし続けてる。
行き違いの誤解が生じた時は、
後回しにせずにその場で解決しないと、
更に拗れると、去年痛いほど味わってるから。
「そのままでいいから、俺の話聞いて……?」