ブラック王子に狙われて②
俺は優しい声音で、布団越しに絢を摩りながら
『理恵』とのことを包み隠さず話した。
それが絢にとって、今は酷だという事も承知の上で。
だけどそれが、俺に出来る唯一の誠意だと思うから。
「だから、恋心を抱いたことは一度もないし、解消して清々してる」
「……………じゃないの?」
「へ?……ごめん、聞こえなかった」
掛け布団を被ってて、声がくぐもってて聞こえ辛い。
もう一度言って欲しくて、トントンと優しく叩くと。
ゆっくりと布団から出て来た絢。
その瞳は真っ赤になってて、頬に涙の痕まである。
「慧くんのっ………は、…つ…恋の人なんじゃないの?」
「は?……いや、だから、恋心抱いたことないんだってばっ」
「………本当に?」
「ん。………ってか、俺の初恋の相手、絢だから//////」
「え?………えぇっ?!」
「安心していいよ。俺、絢以外、眼中にないから」
「っ//////」
布団に潜ってたから、髪が乱れてて。
それを手櫛でそっと梳いてあげると、
その俺の手を両手でがしっと掴んだ彼女は、
くりっとした大きな瞳で俺を捕らえた。
「絢のこと、……好き?//////」
「めっちゃ好き」
「っ///////」
真っ赤に頬を染める彼女に優しく口づけた。
不安な気持ちを一瞬でも抱かせないように。