ブラック王子に狙われて②
彼からプロポーズ的なことを言われて、
正直嬉しいし、女性として倖せ感を味わったけれど。
どこか、しっくり来ないというか、
何かが抜け落ちてる気がしていた。
まだ17歳だからだと思っていたけれど、
本当のところは違うのかもしれない。
だって、だって……。
彼の期待に応えたい。
彼の努力を無にしたくない。
彼のためにも、自分のスキルを磨きたい。
自分のためにも、もっと勉強したいと思うってことは。
これがこの先もずっと続いて欲しいと思うということは、
彼が思い描いてる将来図のままなんじゃないかと思えて。
「慧くん」
「ん?……どこが分からない?」
過去問集のテキストに視線を落としたままの私を見据え、
心配そうに彼が顔を覗き込んで来た。
何だ、そういうことだったのか。
慧くんとは別れるつもりは毛頭ないし、
来年も再来年もその先もずっと一緒にいたいと思ってるけど。
それと、仕事をサポートするのは、違うと思っていた。
だから、答えが出せなかったし、後回しにしてたけど。
凄く当たり前で、簡単なことだったんじゃない。
私自身の力で、彼のために、自分のために、
この先も一緒にいたい………っていう結論に至った。