ブラック王子に狙われて②
だからと言って、『はい、お願いします』だなんて
軽々しく口に出来ない。
だって、今の私は、
彼が築いてくれたと言っても過言じゃない。
たぶん、将来を見据えて、
私の基底部を底上げしてくれたんだろうけど。
私は、彼のために努力した?
彼が骨を折ってくれているみたいに
彼のために何かした??
……何一つ、彼のためにしてないと言える。
これでは、彼のサポート役失格じゃない?
テーブルの上に置いた手をきつく握りしめる。
ずっと支えてくれた彼に対して、自分が情けなくて。
「英検、一発合格してみせるからっ」
「ん?……何、いきなりスイッチ入ったのか?」
「ウフフッ」
私の内心を知る由もない彼は、不思議そうに見つめてる。
彼のためにも、将来の自分のためにも。
もう手を抜いたり、無駄な時間を過ごしたりしない。
苦手教科だって、彼のために克服しないとね!
彼が私のために、貴重な時間を費やしてくれて来たのだから。
英検が受かったら、彼に話そう。
特進クラスだから、普通科より進路先を決めるのは重要だもん。
きっと、ずっと催促されてると思うから。