ブラック王子に狙われて②
・ある日突然に…
5月20日の放課後。
春が終わりを告げようとしている季節。
心地よい春の風が、少しずつ湿った風に変わりつつあって。
肌をさす日差しが、日増しに強くなっている。
「絢、英検の結果どうだった?」
「えっとね、それ、……慧くんのおうちに着いてからでもいい?」
「あ?……あぁ、うん」
何だか言い難そうな所をみると、落ちたのか?
いや、でも……。
俺の手応えだと、絶対受かってると思うんだけど。
絢は文系が得意で、特に英語はかなり出来る。
元々、耳が良いというのも英語にはかなり有利で。
街中やテレビから流れてくる歌やセリフも
一度で覚えてしまえるほど、リスニング力はピカイチ。
ネイティブな発音も、コツを掴めば結構簡単で
耳のいい絢は、息継ぎのポイントや抑揚のコツを
いとも簡単に習得した……この俺よりも短期間で。
俺が小学校低学年の時に、
数年かけて身に着けたものを絢は半年で習得した。
だからこそ、確信してる。
彼女の実力は折り紙付きだと。
秘書能力の1つとして、
状況を判断する能力が必須だが、
それを判断基準とするリスニング力は基礎中の基礎。
相手の言葉を聞き逃さない能力こそが、
知識力を左右する鍵となる。