ブラック王子に狙われて②
「ホントに分かんねぇの?」
「…………はい」
目の前で不服そうな表情をする彼に
私は内心イラッとした。
ちょっと馴れ馴れしいよ、この人。
見た目はハッキリとした目鼻立ちに
少し日に焼けた感じが
如何にも大学生って感じで、
手足もスラリと長い所を見ると
かなりモテそうなイケメンなのは確かだけど。
だけど、慧くんには劣る。
彼は超人なみの完璧人間だからね。
無意識に彼を思い浮かべていたら、
思わず笑みが零れていた。
すると、
「絢、彼は達則(たつのり)君よ」
「へ?」
「お前、名前聞いても思い出せねぇとか言わねぇよな?」
かなりムッとした表情の彼。
母親のアシストを受けて、
漸く脳内が働き出した。
達則……って、あの……たっちゃん?!